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■健やかに老いる−通風、高尿酸血症と生活習慣

11月30日(金)

南リオ・グランデ・カトリック大学教授 森口 幸雄


 日本には最近痛風ないし高尿酸血症が著しく増加してきました。日本の痛風患者は一九八六年二十五万人でしたが、一九九八年で五十九万人になりました。即ち二倍以上に増えました。ブラジル在住の我々日本人の中には痛風は比較的に多い傾向にあります。
 日本の医学の恩人でありますドイツ人医師のベルツは明治十五年に東京医学校(東大医学部の前身)の学士に講義し、「日本人には痛風は極めて少ない、これは主として植物性の食品を食べ、かつビールやぶどう酒を飲まないからであろう」と言いました。たしかに百二十年前の明治十五年には日本人はビールやぶどう酒も飲まなかったでしょうし、肉は食べる習慣もまた無かったでしょう。
 高尿酸血症が増加してきましたのは、ある程度、糖尿病と似通ったところがあります。肥満度がませば高尿酸血症にかゝる可能性が増えてきます。食物が豊富で、車社会のせいで歩くことが少なくなったので肥満が増えてきました。
 もう一つの原因は飲酒です。前記のベルツの言っている通り、ビールの飲み過ぎはよくありません。アルコールの代謝にともなって、尿酸がふえてきますから、アルコールの飲み過ぎは高尿酸血症の頻度をあげ、痛風の患者を多くすることになります。
 皆さんご存知の通り、糖尿病はインスリン抵抗性が増えてくると、おこってきます。それと同じ様に高尿酸血症はインスリン抵抗性が増えてくると尿酸が多くなり、おこってきます。インスリン抵抗性をもたらす代表的なものは肥満です。肥満がインスリン抵抗性のもとになりますから、肥満者の痛風ないし高尿酸血症ではインスリン抵抗性をその根底に持っています。日本での研究では、痛風患者の50%でインスリン抵抗性があることがわかりました。
 高尿酸血症とは血中の尿酸値が7mg/dl以上のことをいいます。ですから7mg/dlを超えている人で、肥満があれば先ず体重を減らす様一日一時間歩く様習慣づけることが第一です。第二は食事療法です。食事療法の基礎はプリン体の多い食品を制限することです。

(表1)プリン体の多い食品と少ない食品

プリン体の多い食品

プリン体の少ない食品
するめ、エビ、肝臓、に ぼし、いわし、大豆、か つお節、あじ干物、干し 椎茸、肉のスープ。 穀類、パン、いも類、牛 乳、チーズ、かまぼこ、 鶏卵、かずのこ、ちくわ 野菜類、豆腐。


 表1にプリン体の多い食品と少ない食品をあげてみました。また尿をアルカリ化しますと、尿酸が少なくなりますので表2にあげました尿アルカリ化食品を多く食べることです。

(表2)尿アルカリ化食品
ほうれん草、ごぼう、さ つま芋、にんじん、ひじ き、わかめ、こんぶ、干 し椎茸、バナナ、じゃが 芋、グレープフルーツ、 里芋、キャベツ、メロン、 大根、かぶ、なす。
 

 つぎに主要食品中に実際的にどれぐらいのプリン体が含まれているかを表3で示します。

(表3)主要食品中のプリン体含有量の目安
食品料理名 おおよそのプリン体含有量(mg)
豚肉、牛肉 100g 70-120
鶏 肉 100g 120-150
鶏 卵 50g 0
カレーライス 1人前 約 100
牛どん 1人前 約 150
にぎり ずし 1人前 約 100
ビール (大びん) 633ml 約 50

 通常人の一日プリン体摂取量 は 150-300・が正常です。それ以上になると異常で病気を おこします。


 しかしプリン体を絶対食べてはいけないというのではなく、週に一回程度で暴食さえしなければ何を食べてもよいのです。
 よくビールにはプリン体が入っているから、ぶどう酒やウイスキーや日本酒にするとかという話を聞きますが、アルコールが代謝される過程で尿酸は必ず増えてきますから、ビールの代わりにプリン体の全く入っていないぶどう酒にかえても、ぶどう酒をがぶ飲みすれば、ビールを適度に飲んでいるよりもっと悪いです。 少しぐらい尿酸値が高くとも、一週に一回位ビール大ビン一本位か、日本酒一合程度か、ぶどう酒コップに一杯位でしたら、それほどの影響はありません。
 前記の歩行や食事療法をまもっても尿酸値が7mg以下に下らなければ薬を飲まなければなりません。
 そのほか高尿酸血症の予防に水分をたくさん摂ることも大切です。

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