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■【対コスタリカ戦】 コスタリカも一蹴─強敵次々姿消し決勝Tへ

6月14日(金)

 韓国のワールドカップ初勝利(四日、ポーランド戦)は日本でも好意的に取り上げられたが、それと同様に日本のワールドカップ初勝利(九日、ロシア戦)も韓国で大きく報道された。日本人が韓国チームを応援して韓国チームの勝利を祝い、それと同様に韓国人も日本チームの健闘を祝福する。アジア初のワールドカップの共催国ということで、日本と韓国の間にはすでに一種独特の連帯感が生まれている。そして、それは単にサッカーにとどまらず、互いの国民感情そのものを変えつつあるようだ。スポーツには国境がない。そして、スポーツを通じて培った感情も容易に国境をまたいでしまう。
 今回のワールドカップの特徴の一つは、意外性だろう。何しろ、毎日にようにとんでもない「事件」が起きる。
 開幕戦で前大会の王者フランスがセネガルに敗れたのが、そもそもの始まりだった。フランスはその後ウルグアイと引き分け、十一日にはデンマークに敗れて最下位でグループリーグを敗退した。このグループの首位は伏兵デンマークで、初出場のセネガルが二位に入った。
 十二日も、驚きにはことかかなかった。「死のグループF」に入ったアルゼンチンが、イングランドに敗れたあとスウェーデンと引き分け、グループ三位となってあえなく敗退したのである。このグループの首位はスウェーデンで、二位はイングランド。アルゼンチンは、やはり宿敵イングランドに敗れたのが響いた。
 一方、ブラジルは十三日、ソウル郊外の水原(スウォン)でコスタリカとグループリーグ最終戦を戦った。水原は世界文化遺産「水原華城」に代表される伝統文化とハイテク産業が融合した街。カナリア色のユニフォームを着込んだブラジル人サポーターも数千人はいただろうか。すでに決勝トーナメント進出を決めているとあって皆明るい。例によってサンバを奏で、女性が踊る。スタジアムで僕の隣に座ったのもブラジル人で、日本政府から奨学金をもらって東京の大学で勉強しているという若い女性だった。日本へ来てまだ半年だそうだが、物価は高いものの治安が安全で便利な東京がすっかり気に入った様子。「できればずっと日本で生活したい」と話していた。
 ここまでグループリーグで二戦二勝のブラジルは、ロナウジーニョ・ガウーショ、ロベルト・カルロス、ロッケ・ジュニオールを休ませたが、それでも攻撃は鋭かった。前半十分にエジウソンの左からのクロスをロナウドが押し込み(ロナウドのシュートがコスタリカのディフェンダーの足に当たって入ったことから、記録はコスリカの自殺点)。その三分後にも左コーナーキックからのこぼれ球をロナウドが蹴り込んで追加点。前半三十七分には、攻撃参加したディフェンダーのエジミウソンがゴール前に上がったボールをバイシクルキックで叩き込んだ。
 ただし、この日も守備は不安定。三十九分にワンチョペ、後半九分にゴメスに決められて一点差とされる。それでも、ブラジルは後半十七分にジュニオール、その二分後にリバウドが加点して結局五対二で勝ち、グループリーグを三戦全勝で勝ち上がった。このグループの二位には、この日中国を三対〇破ったトルコが入った。
 グループリーグのブラジルは、三試合で十一得点。シュートの精度に問題があるとはいえ、攻撃はまずまずだろう。しかし、守備は不安だらけ。両サイドからのハイクロスに弱いという伝統的欠点に加えて、コスタリカ戦ではワンツーパスで守備陣のど真ん中を再三破られていた。やはり、スリーバックでワンボランチというシステムでは中盤のボールの出所を押さえきれない。決勝トーナメントに入ってもこの日のような守りでは非常に不安だ。スリーバックを続けるのなら、せめて前半はボランチを二人置くべきだと思うのだが…。
 ともあれ、格下ばかりのグループを順当に勝ち抜いてみたらすでにフランスもアルゼンチンもすでにいなくなっているという、ブラジルにとっては願ってもない状況となった。決勝トーナメント一回戦は十七日。ブラジルにとっては、いよいよ本当のワールドカップが始まる。

サッカージャーナリスト 沢田啓明

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