ブラジルに来て二カ月が経った。すでにどっぷりとこの街サンパウロに染まった感がある。何故なら、違和感が無いからだと思う。
北海道の広大な環境の中で生まれ育ったこと、生活基盤は札幌と言う大都市の街で営んできたこと、今回の使命であるボランティア活動が長年培ってきた司書としての仕事であることなどが共通しているからだろう。
海外での生活は初めてだが、すぐに何事にも馴染む性格であり、怖さを感じない、気にしない、何とかなる、自分だけは大丈夫、と思い込む性格で何とかクリアしている。
日常会話がポルトガル語ということで、少々不安な気持ちもあったが、有難いことに日本語で十分伝わる仕事場だった。
すべてが自分に幸いしているこの状況を自分なりに分析してみると、来るべくしてこの国に来たのではないかとさえ思う。そのために少しでも経験を活かせるよう努力を惜しまないつもりである。
今年三月まで大学の図書館で三十五年ほど働いてきた経験から見ると、利用者が学生から一般市民であること、専門書よりは文学書を中心に利用されていること、静粛を保つよりは和やかな日常会話が弾む雰囲気であることなどが、この文協図書館の特徴といえる。常連が多く、のんびりした家族的な温かささえ感じる。
八十歳ちかい方が文庫本を何冊も借りて行かれるのを見ると「小さい活字本なのに大丈夫なのかな」とか、「とても古い本なのに役に立つのかな」などと心配せずにはいられない日々に、やはりサンパウロに、いやこの図書館にも染まってしまったと思うのである。
そして、日本から来たばかりの私に、なつかしさで声をかけてくださる方が多く、誰もが日本と言う国を愛しているように感じられとても心地よい。
「ブラジルの感想は?」と何度か問われ、「気に入っています」と答えると、誰もが微笑み「そうでしょう。ブラジルはとても住みよいところなのよ」の言葉が返ってくる。
日系社会のことはほとんど知識が無いままに来てしまったが、先入観を持たないまま、これからの二年間ブラジルだけでなく「日本を外から見る」ことに観点を置き、両国の良さや文化の違いを感じ取れれば、と思う。
そして、ブラジルをもっと理解するためにも三世、四世の方と、片言ででも会話ができるようポルトガル語の勉強を続けていかなければとも思っている。
◎ ◎ 【職種】司書
【出身地】北海道札幌市 【年齢】60歳
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