先月二十九日、首都サントドミンゴのホテルハラグアにてドミニカ日本人移住五十周年式典が行われた。ドミニカ・日本両国から多くの来賓が出席したほか、ドミニカ全国から老若男女問わず多くの移住者、日系人の方々が一堂に会し、会場は超満員となった。とても賑やかだった。
午前中に行われた慰霊祭では、この地で亡くなられた移住者の方一人一人の名前が読み上げられ、名前の刻まれた慰霊碑へ献花が行われた。どのような思いで亡くなられたのかを思うと、胸が痛んだ。住み慣れた母国を離れ、見知らぬ地へ移住することには、想像を絶する覚悟が必要だっただろう。
それでも夢を追い求め、この地に来られた方々はとても勇敢で素敵だと思う。その勇気あるご決断、ドミニカでのご苦労、ご活躍を、同じ日本人として心から尊敬したい。亡くなられた方々が心安らかでいられますように。そう願いながら黙祷した。
午後は、ドミニカ人歌手によるメレンゲ、日本人歌手による演歌ショーが行われ、大盛況だった。特に演歌ショーのときは、一世のおじいちゃん、おばあちゃんたちが目を細め、嬉しそうな笑顔を見せていた。それを見た私もなんだかとても幸せな気持ちになった。これからも、こんなふうにみんなが笑顔でいられたらいいなと思う。
ショーの合間には、日本語学校の生徒による歌と踊りの発表や、JICAの本邦研修(六月中旬から七月中旬にかけて日本語学校の生徒三名が日本にて研修した)報告発表も行われた。ドミニカと日本の将来を担う子供たちの今後がとても楽しみだ。
式典が終わったある日、ある一世のおじいちゃんがいつものように言っていた。せかせかしている日本よりも、のんびりしているドミニカのほうが住みやすい、だから私は日本には行きたくない、と。
ドミニカ移住は周知のとおり諸問題を抱えてきた。ドミニカへ移住してきたことを後悔している、日本に帰りたかったが帰れなかった、などのお話を聞くことも少なくない。そんなお話を聞く度に、私も悲しい気持ちになる。
しかし、ドミニカに愛着をもって、この地で生活を続けておられる方もいるのだ。たしかに、よく言われることではあるが、今の日本には欠けているものが、この国にはたくさん残っているように感じる。
人の温かさ、ゆっくりと流れる時間、豊かな自然や動物たち。せわしい日本にいてはなかなか味わうことのできない、心の豊かさ、人間らしい生活が、ここにはある。
移住者の方々の心の痛みがいつの日か癒え、日系社会が未来に向かってこれからも活躍、前進を続けることを願ってやまない。
◎ ◎
【職種】日本語教師
【出身地】埼玉県蓮田市
【年齢】27歳
|