パラ州の食べ物は美味しい。ベレンで食べるエビやカニ、魚介類があまり食べられない地域でもタカカ・バタパ・マニソバの三大伝統料理がある。
このタカカ、トゥクピーという黄色い調味液にトロトロのタピオカ粉水溶液を加え、塩エビとジャンブーというしびれ草をのせる。 見かけは味噌汁のようで、味は酸味と塩味が絡んだ感じ。ジャンブーを食べると勿論口がピリッとする。最初は「何これ?」と思ったが段々癖になる代物。「酒を飲んだ後の一杯」に最適で、個人的にその存在は故郷の〃博多ラーメン〃。
又、ジャンブーは砂糖・醤油・酒・みりんで油炒めすると、これまた美味しくブラジル風〃九州辛子高菜〃。日本の大好物二つがさほど恋しくならずに過ごしてきたのは、紛れも無くタカカやジャンブーの油炒めのお陰である。
いつしか、私はそれらの料理の作り方ではなく、トゥクピーという調味液の作り方に興味を持ち始めた。しかし、知り合いに聞いてみると「アレは難しいわよ」のあっさり一言。市場などで売られている、飲んだ後のペットボトルに入ったトゥクピー液を買うしか手段が無いのだとか。 こんなにお世話になっているのに自分で作ることが出来ないとは…。この点から見てもやっぱり〃博多ラーメン〃である。
気になり始めたら止まらない。色んな人に話を聞いたり、自分で調べてみた。すると、トゥクピーの作り方は以下のようであった。
マンジョッカ芋をイガラペ(天然川の狭い水路。庶民の水浴び場でもある)で三日間浸す。水に浸ったマンジョッカの皮を剥き、細かくすりおろしてチピチという竹のような木片で編んだ長い筒に入れる。チピチを引っ張ると濾過液が出てくる。
この液に塩、にんにくの葉などを入れて三十分ほど沸騰させるとトゥクピーが出来上がる。しかし、このマンジョッカは、トゥクピーを作るだけではなく、別の工程でブラジルの主食の一つファリーニャや、ポップコーンのような主食ファリーニャ・デ・タピオカ、タカカに入れるタピオカ粉などにも加工することができるという。
原料をくまなく利用することができる理想的加工品。何故誰でも作れないのかというと、綺麗なイガラペで浸さないといけない。綺麗なイガラペは街から最低十キロは離れた場所にある。
ちなみにマンジョッカが浸ったイガラペで泳ぐと怒られるらしい。それと、一つの原料から四つの加工品が出来るように、かなりの作業を要するらしい。話を聞いて分かったのはここまでだ。
もしかすると間違っている箇所もあるかもしれない。最初は単純にトゥクピーの作り方だけを知りたかったのに、こんなにお釣りが沢山くるとは…。まさしく目からウロコであった。
食品加工という職種柄か、はたまた個人的趣味か。「美味しいから」というだけではなく、こんなに興味深い伝統的な加工品は無い。ここまできたらブラジル滞在中に加工現場を是非見学させてもらいたい。現在同僚にお願い中である。
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【職種】食品加工
【出身地】福岡県春日市
【年齢】26歳 |