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■JICA青年ボランティア リレーエッセイ=最前線から

■連載(32)=中江由美=ポルトベーリョ日系クラブ=ブラジルのお盆

2006年3月9日(木)

 昨年の話になるが、日本のお盆ともいえる十一月二日のフィナードス。お世話になっている家族と一緒に、町のセントロとコロニア両方のお墓参りをした。
 この日は町じゅうの人がお墓参りをするので、セントロのお墓は大賑わい。日本では、人が多くても静かだけれど、ブラジルではいつもと変わりなく人々の服装も華やか、カラフルな旗が飾られていた。
 お墓の門の外ではお菓子(お供え用ではなく、ふつうのポップコーンなど)やおもちゃやろうそく、お花などの露店が出ており何かのお祭りのようだった。
 お墓の中では、お祈りをしている人の横で、子どもが遊んだり、平気でお菓子を食べていたり。石の上にすわって休憩しておしゃべりをしている人など色々な人がいて、日本の厳かな雰囲気とは違って明るい雰囲気で、お国柄が出ているなあと感じた。
 お供えする花も日系人の方は菊の花を供えていて、ブラジル人のお墓には色とりどりの生花が供えられていた。ポルトベーリョでは生花はとても高いし、花屋も町にあまりないのでこの日初めて、こんなにたくさんの生花が売られているのを見た。サンパウロから入ってくるそうだが、菊の花があるのにもすごいと思った。
 後から聞いて驚いたことだが、お供えしてあるよそのお墓からこっそりもらって自分の家のお墓に供えたり、フィナードスの次の日にお墓に供えてある生花をこっそりとってきたものを町で安く売って商売する人がいるとか。しかもそれを買う人もいるとか。一部の人がしていることとはいえ、お墓の花を盗んだり、売るなど日本では考えられないことだ。
 コロニアのお墓は、サンパウロからとりよせられているそうだが、石に漢字で名前が彫ってあり日本と同じだ。でも、大きさは日本よりずっと大きく立派なものだった。コロニアは移住当初三十家族だったが、今では五家族、お墓もとても静かだった。
 お参りのあとで、家におじゃまして、おいしいおすしやお赤飯、お饅頭をたくさんごちそうになった。もちろん、お墓にもお供えした。
 家には仏壇があり、親戚の家にご霊前を持って行ったりもする。地球の反対側で、移住して五十年以上たった今でも日本の風習をずっと大切にされていることに感動した。
 「ブラジルには昔の日本が残っている」と聞いていたけれど、今では昔の古き良き風習がなくなりつつある今の日本に対して、ここブラジルでは日本の風習を大切にされているのを見て、あたたかさを感じた。 時代も世代も変わっていくけれど、これからもずっと大切にしてほしいものだ。
   ◎   ◎
【職種】日本語教師 
【出身地】滋賀県大津市
【年齢】26歳

 ◇JICA青年ボランティア リレーエッセイ◇
連載(31)=宇都宮祐子=Escola Professora Josephina de Mello(マナウス)=ひらがなや漢字を描く?
連載(30)=中村茂生=バストス日系文化体育協会=コロニアで聞く戦争体験
連載(29)=相澤紀子=ブラジル日本語センター=「サンタクルス病院にて」
連載(28)=辻 伸二=セルジッペ州日伯文化協会=歌と歩んだアラカジュの2年間
連載(27)=原規子=西部アマゾン日伯協会=「アマゾンに暮らす」
連載(26)=東万梨花=トメアス総合農業協同組合=パラエンセのスピリット
連載(25)=森川奈美=マリリア日系文化体育協会=書道に日本語は必要?
連載(24)=原田陽子=ピラール・ド・スール文化体育協会=日本の反対側の日本
連載(23)=今井さや香=コロニアピニャール文化体育協会=「ブラジルの空の下で」
連載(22)=池田玲香=マリアルバ文化体育協会=気づいた「日本人らしさ」
連載(21)=山崎由加里=特別養護老人施設あけぼのホーム=〃家族とのつながり〃
連載(20)=中村茂生=バストス日系文化体育協会=百周年に移民展を
JICA連載(19)=加藤みえ=ボツカツ日本文化協会=ボツカツから笑顔の風
JICA連載(18)=中江由美=ポルトベーリョ日系クラブ=「時の流れもお国柄」
JICA連載(17)=加藤紘子=クイアバ・バルゼアグランデ日伯文化協会=パンタナールに漂う空間に出会って
JICA連載(16)=宇都宮祐子=Escola Professora Josephina de Mello(マナウス)=料理アマゾナス風
JICA連載(15)=松岡美幸=パラナ州パルマス日伯文化体育協会=「人の温かみを感じる町」
JICA連載(14)=相澤紀子=ブラジル日本語センター=「何を残して何を持ち帰るのか」
JICA連載(13)=東 万梨花=トメアス総合農業協同組合=ブラジル人から学んだ逞しくなる秘訣
JICA連載(12)=森川奈美=マリリア日系文化体育協会=「笑顔の高校生達」
JICA連載(11)=原 規子=西部アマゾン日伯協会=元気な西部アマゾン日伯協会
JICA連載(10)=中江由美=ポルトヴェーリョ日系クラブ=「熱帯の中で暮らし始めて」
JICA連載(9)=中村茂生=バストス日系文化体育協会=「日本」が仲立ちの出会い
JICA連載(8)=加藤紘子=クイアバ・バルゼアグランデ日伯文化協会=日本が学ぶべきこと
JICA連載(7)=森川奈美=マリリア日系文化体育協会=「気づかなかった素晴らしさ」
JICA連載(6)=清水祐子=パラナ老人福祉和順会=私の家族―39人の宝もの
JICA連載(5)=東 万梨花=ブラジル=トメアス総合農業共同組合=アマゾンの田舎
JICA連載(4)=相澤紀子=ブラジル=日本語センター=語り継がれる移民史を
JICA連載(3)=中村茂生=バストス日系文化体育協=よさこい節の聞こえる町で
JICA連載(2)=原規子=西部アマゾン日伯協会=「きっかけに出会えた」
JICA連載(1)=関根 亮=リオ州日伯文化体育連盟=「日本が失ってしまった何か」
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