「DESENHAR?」私の生徒たちにしてみれば、ひらがなを「かくこと」は「書く」ではなく「描く」だった。
私の学校は日本語学校ではなく、ブラジルの義務教育を行っている学校。その中で日本語が必修科目となっている。何年間も日本語の授業が行われていたにも関わらず、文字はほとんど教えていなかったようだ。それで、今年から文字も勉強させましょうと提案したら、OKが出た。
最初、名前を覚えさせようと考えた。まねて描くことから思い、一枚の紙に手本を書いて渡し、その下にコピーさせることにした。
そうすると面白がって真剣に描いて入るものの書き順はグチャグチャ。二度目に書き順を示したプリントを準備したら、その書き順をあらわしている数字までコピーしてしまった。これは単に先生の準備そして、指導方法が間違っているとしかいいようがない。
ひらがなを順番に教えていく中で、あ・か行がわかるようになっただけでも、いくつかの単語が読めるようになる。「いえ」「あか」「こえ」など…。
私が黒板に書いて、「さあ、読んでみて」と言うと初めは嫌がっていた生徒たちも、答えられた達成感を一度味わったら、その後の勉強意欲はたいしたものになった。だが、全員をそのようにはさせられなかったのは、ちょっと悔しい。
義務教育最終学年の八年生は、卒業したら日本語の勉強が終わってしまう。余程好きでない限り二度と勉強することはない。そこで何か思い出になるものをと考えて行ったのが習字。
ひらがなの勉強を始めたばかりだとは思ったが、人気のある漢字を書かせることにした。「愛」「健康」「平和」「心」「星」どこでも、よく見かける馴染みのある漢字。
この中から好きなものを選ばせて、ノートに何度も練習。習字の場合、書順が大切になるので徹底した。 本番。いざ、筆と墨を使わせて書いたら、まさに描くになってしまった。はねや払いのかすれを細く何度も書いていた。そしてまた、一文字書き終わるまで墨をつけてはいけないと教えていたら、白くかすれたところを塗っていた。「なにやってるのー!」と注意すると「PINTAR!」と答えが返ってきた。見ればわかるけど…。
そんな生徒たちに囲まれて、新学期が始まった。人数も増えて、今年もどんな一年になるかが楽しみだ。
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【職種】日本語教師
【年齢】28歳
【出身地】福岡県宗像市 |