ブラジルへ来て十ヶ月が過ぎた。今では、派遣当初抱いていた不安や迷いもなくなり、ここで毎日楽しく活動している。これまで、日本へ帰りたいと思ったことも、自分の活動が無意味だと感じたことも、唯の一度もない。
ここへ来てからの思いは、とても書き尽くせないけれど、私の中で大きく変わったこと。それは、「日本人としての誇り」を持てるようになったこと。これは日系の方々に教えていただいた。
十ヵ月間、マリアルバやマリンガ地区連合会での行事に参加させていただき、多くの事を見聞きする中で、私は、幾度も感動させられた。何もない小さな国、日本。だけど、日本の文化や、日本人の習慣は世界に誇るものだと教えていただいたのだ。日本にいる私たちは、それになかなか気づく事ができないでいる。
どんどん外国のものを取り入れ、日本独自のものを変化させ、歪めてしまうことさえある。その一方で、ブラジルに住みながらも「日本人らしさ」を大切にして生きている人々がいる。日本の内にあるイイモノを守り続けてきた日系の方々。その姿にとても胸を打たれた。
また、日系の方々の並々ならぬ努力は、ブラジル全土に染み渡っていることが、来てすぐの私の目にもはっきりと見て取れた。どこに行っても、私が日本人ということで、人が寄ってくることはあっても、ヤジや罵声を浴びたことは一度もないし、こんなこともあった。
私がバスを待っていた時、周りには同じようにバスを待つブラジル人がいて、一組の親子が来た。そしてなんとその父親は、私に子供を預けて行ったのである。「この子は降りる場所を知っているから連れてってくれ」と。
その間、ブラジル語の話せない私は一言も発していない。おそらく、その子の父親は私を日系人だと思ったのだろう。顔を見ただけで、子供を預けて行ってしまったのだ。赤の他人に子供を預けるなんて、もちろんその父親は私が外国人だなんて、思いもしなかったのだろうが、すごく驚いた。
他にも、買い物に行き、カードが使えないお店があった。でも、現金を持っていなかったので、日を改めてこようと思ったら、「持っていっていいよ」と店員が言ったのだ。「お金は明日もってきてくれたらいい」と。信じられなかった。お金を受け取っていないのに、商品を渡すなんて。
これらは日系人の方が作り、守ってきた「日本人らしさ」が、この国で高く評価されている証拠だと私は思う。他の国へ行っても、おそらくそんなことはないだろう。日本人と言うだけで、信用がある。でもそれは決して日本人だからではない。日系人の方が守ってきた「日本人らしさ」の中にあるものだと私は思う。
日本を離れ、そして日系の方々を通して始めて、私は日本の文化や習慣が、どれだけ素晴らしいものであったのかを知った。私は、これからの人生の中で「日本人らしさ」を大事にして生きていこうと思う。
そしてこのことを、今の日本で私のように、外にばかり目を向けている日本人に伝えたいと思った。
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【職種】日本語教師
【出身地】鹿児島鹿児島市
【年齢】22歳 |