ブラジルに来て四カ月が過ぎた。日本にいた時と仕事は変わっていない、けれどこの四カ月で介護に関する考え方やお年寄りに対する気持ちが変わった。
ブラジルに来ると決まったとき、勤めていた施設の施設長がわたしに言った。「一世の方やその家族から日本人の気持ちを学んできてください」と。
わたしはその意味がよく理解できなかった、今も説明できるほど理解はしていない。けれども今、施設長の言った言葉が少しわかるような気がする。
ブラジルと日本の老人ホームを比べると、申し訳ないが、介護技術や車椅子やベット、介護用品など日本の方が優れている。
また、介護が国家資格として認められ、専門教育をうけている日本と、介護がまだ他の仕事となんの変わらないブラジルとでは、職員ひとりひとりの技術も知識も日本の方が上である。 でもこれは仕方ないことで、日本も過去に通ってきた道、これからどんどん発展していくだろう。
でも介護はいくら技術があっても、物がすぐれていても、相手の気持ちを考えたり、まわりの環境を考えたり…。ひとりじゃ出来ないもの。わたしがブラジルに来て驚いたこと。それは家族とのかかわりだった。
わたしが活動しているあけぼのホームでは、週末になると入居者の家族がたくさん訪れる。時には子供夫婦と孫、めいやおい、好きな食べ物を持ってきたり、食事時間に重なると介助を手伝ってくれる。
また父の日や毎月行われる誕生会には一家総出で訪れてくれる。あたりまえの光景かもしれない、けど悲しいことだけど長い間この仕事をしていて始めてみた光景だった。
日本では施設に入れたらそれで終わり、お金だけ払えばいい。そんな家族を少なからず見てきたわたしには、とても新鮮でほほえましかった。
どんなに良いものよい技術に囲まれても、家族やわかりあった友人たちとの会話や関わりがないと気力がもてないもの、そんな単純なことに気付かされた。家族がくると、顔が変わる、どんなにわたしたち職員が頑張っても見ることのできない笑顔がそこにあった。
ある家族の方と話す機会があった。そして聞いてみた。「ここまでくるの大変じゃないですか?」と。
「大変だけど、家族ですから。もっと大変な思いしてきたから、母は」
ブラジルに来て、家族の大切さ、そして深さを知った。そして、日本から移住してきて、大変ななか立派な家族を作り上げてきたお年寄りたちをほんとに尊敬するし、大好きである。
そしてあけぼのホームにいる入居者たちから、たくさんのことを教わろうと思う。
きっと日本にいたらわからなかったこと、気付けなかったことがこの二年間でどれだけでてくるのか…。わたしは楽しみである。
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【職種】高齢者介護
【出身地】北海道釧路市 【年齢】30歳 |