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■JICA青年ボランティア リレーエッセイ=最前線から |
■連載(18)=中江由美=ポルトベーリョ日系クラブ=「時の流れもお国柄」
2005年11月17日(木)
ポルト・ベーリョに来て八ヵ月が過ぎ、前よりも気持ちに余裕がでてきたが、逆にやらなければいけないことが増え、時間に余裕のない毎日を過ごしている。私の生活はあわただしいが、ポルト・ベーリョはとてものんびりした土地柄だ。暑すぎて走りまわる気にもなれないかもしれないが…。聞くところによると今年は五十五年ぶりの暑さを記録した異常な暑さとのこと。
郵便局や銀行も仕事が大変遅い。口座を開くため初めて銀行に行ったときには、五時間以上も待たされたのにその日に開けてもらえなかった。郵便局はいつも人でいっぱいなのに窓口対応は遅く、呼ばれて窓口に言っても、係員同士で話をしていてなかなか進まない。
しかも、順番を待っているのに知り合いだからと他の人を優先することもある。これも「アミーゴ」の国だからこそ通用するのだろうか。私は最初、腹立たしかったが、こちらの人は待たせることにも待たされることにも寛容な感じである。
日本語の授業にしても時間どおりに始まることはまれだ。「バスが来なかった」「自転車がパンクした」「家の人が送ってくれなかった」「家の門が壊れてしまった」とかいうびっくりする理由もある。
それなら電話をするようにというと、「電話代を支払っていないため、電話が止められていて、かけられない」とまた予想もしない答えが返ってきて、びっくりすることが多い。しかし、日本だと起こらないこともここでは日常におこるわけで、仕方がないことだとわかってきた。
学校へ行く途中にバスがパンクして全員降ろされたことも何度かあるし、雨でバスが来なくて私も遅刻してしまうことがあり、生徒に注意できないなと反省した。外国にいるのだから日本で考えられないことがあるのも当たり前、「郷に入れば、郷に従え」という諺もある、ということは頭で理解していても、気持ちがなかなかついてきてくれず、こういうことを一つ一つ受け入れられるようになるまでに半年かかった気がする。
最近では、時間を守らないと注意するのではなく、来てほしい時間の三十分前に集合時間を設定するようにしている。この土地にはこの土地の「ブラジル時間」というものがあるんだと考えるようになった。
この「ブラジル時間」が心地よいと思えることもある。日曜日、お店はどこも閉まっていて、買い物ができない。普段授業で忙しく、日曜こそ買い物する時間もあるし、気晴らしに出かけたいのにどこも閉まっている。不便だ。
日曜こそ人も多くて稼ぎ時なのにと思うが、どうしてかと聞くと、「日曜は教会に行く日で、働く日ではないからお店はどこも閉まっている」とのこと。なるほど、ここはカトリックの国。こちらでの日曜の過ごし方といえば、日系クラブの行事に参加するか、生徒や会の人に誘われて、お昼をいっしょさせてもらうことが多い。
こちらは誕生日が大切で、誕生日を迎える人が皆を招待して盛大に祝う。友達の友達の誕生日会にまで行くこともある。私も先日、誕生日を迎えたが、サンパウロ会議の時には同期の友達全員から祝ってもらい、ポルト・ベーリョでも盆踊りの練習の生徒たちがケーキを手作りしてもってきてくれて祝ってもらい、とても嬉しかった。
そういうわけで、日曜には誰かの誕生日会や昼食会などにお邪魔する機会も多い。特に何かをするわけではなく、ただゆったりと過ごす。暑いので日陰に座ってのんびり話をしたり、子どもの遊び相手をしたりして気が付くと夕方になっている。
そんな日曜の過ごし方をしていると、「お店が閉まって不便」というよりも、「何もしないでただのんびりと休む」、これが本来の日曜なのかもしれないと思えてきた。時々共有させてもらうこの「ブラジル時間」は、日本の忙しさの中につい忘れていた大切な何かを思い出させてくれる気がする。
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【職種】日本語教師
【出身地】滋賀県大津市 【年齢】25歳 |
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