■移住坂 神戸と海外移住(13)=01年乗船記念碑が完成=留学生、就労者ら見学に
7月5日(土)
全世界二百五十万人の日系人代表が一堂に会する国際会議「海外日系人大会」が、毎年一回、東京で開催される。海外日系人と祖国日本の連帯を図り、日系人が直面する諸問題を議論するこの大会も、一世が老齢化し、三世、四世など日本語が不自由な世代の参加者が増加したため、昨年から、会議を日本語だけではなく、英語、スペイン語、ポルトガル語で行うようになった。
二〇〇一年の第四十二回海外日系人大会は、十月二十三日から二十五日まで開催された。皇族もこの大会を重視しておられて、一九九九年大会には天皇皇后両陛下が臨席された。二〇〇〇年大会は紀宮殿下、二〇〇一年大会は常陸宮殿下ご夫妻が臨席され、海外日系人をねぎらわれた。
二〇〇一年大会は、大会終了後、同年神戸メリケンパークに建立された「神戸港移民船乗船記念碑」を訪ねるツアーが催された。
二〇〇〇年の大会のハイライトは、海外から参加した日系婦人達が、紀宮殿下に花束を贈呈し、祖国への思いを述べる場面であった。二十四歳のときブラジルに移住した岩手県出身の小原彩さん(当時七十九歳)は、「今回の訪日が最後になるかもしれない。日本に三週間滞在する予定で、その間、岩手へ行き、兄の墓参りをして、その後、神戸に行って、日本を立つ前に滞在した神戸の移民収容所を見るのを楽しみにしている」と挨拶し、筆者をいたく感激させた。
なにしろ、八十歳近い老婦人が、旧神戸移民収容所を再訪するためだけに、わざわざ神戸に来るのだ。海外日系人の心のふるさととなっているこの建物を、わが国移住史の生き証人として、また、神戸に熱い思いを寄せるこの人たちのためにも、後世に残さなければならない。
アーサー・ヘイリーの小説「ルーツ」は、アフリカから奴隷としてアメリカに連れてこられたアフリカ系アメリカ人の子孫が、自らのアイデンティティを求めて、アフリカまで旅して苦難の末ルーツを探し出す、という感動的なストーリーで、テレビ映画化され人気を博したので、見た方も多いと思う。かつて、多くの移住者を新大陸に送り出したアイルランドには、いま、アメリカ、オーストラリアなどから、移住者の子孫によるルーツ探しの訪問者が多く、その人たちのために「ルーツ探しの代行業」もあるという。
名前、出国日、移民船名、役所、教会の記録などをもとに、ルーツを探すようだ。ちなみに、アイルランド、スコットランド人に多いオコーナー、マクドナルドなど、名前の前にO'やMacがつく名前の人が多いが、O'、Macは「〜さんの息子」という意味だ。
ブラジルの邦字紙、サンパウロ新聞社とニッケイ新聞社が、二〇〇一年四月に、神戸港移民船乗船記念碑完成とタイミングをあわせて、共同企画で、サンパウロ、ベレン、ロンドリーナの三都市で、写真展「20世紀の残像〜戦後移住者船出の瞬間〜この中にあなたはいませんか」を実施した。展示された写真は、神戸移住センター前で写真館を営んでいた飯沼正秋氏(故人)の遺族が提供したもので、その写真をもとに「尋ね人」を実施したところ、一千百人が来場し、移住者が写っている写真百二十四枚のうち、三十八枚の写真の移住者が特定された。
メリケンパークの「神戸港移民船乗船記念碑」は、祖国日本を象徴する記念碑として、世界中二百五十万人の海外日系人が熱い視線を寄せている。記念碑を見るために神戸にくる日系留学生、就労者も多い。いつの日か、この神戸で、旧海外移住センターで、世界中の日系人が集う「海外日系人大会」が開催されることを願っている。
■移住坂 神戸と海外移住(1)=履きなれない靴で=収容所(当時)から埠頭へ
■移住坂 神戸と海外移住(2)=岸壁は涙、涙の家族=万歳絶叫、学友見送る学生達
■移住坂 神戸と海外移住(3)=はしけで笠戸丸に乗船=大きな岸壁なかったので
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■移住坂 神戸と海外移住(5)=温く受け入れた神戸市民=「移民さん」身近な存在
■移住坂 神戸と海外移住(6)=収容所と対象的な建物=上流階級の「トア・ホテル」
■移住坂 神戸と海外移住(7)=移民宿から収容所へ=開所日、乗用車で乗りつけた
■移住坂 神戸と海外移住(8)=憎まれ役だった医官=食堂は火事場のような騒ぎ
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■移住坂 神戸と海外移住(10)=渡航費は大人200円28年=乗船前夜、慰安の映画会
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■移住坂 神戸と海外移住(12)=たびたび変った名称=収容所、歴史とともに
■移住坂 神戸と海外移住(13)=01年乗船記念碑が完成=留学生、就労者ら見学に
■移住坂 神戸と海外移住(終)=旧移民収容所を活用=海外日系人会館建設へ
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