■日系ゼロ 聖州下議・州議選を振り返る(終)=母国との交流強化を=文化面の協力にも期待
11月14日(木)
来年の民法改正を控え、各宗教団体とも政治性を前面に打ち出すことを控えているという。目立てば、宗教法人資格の剥奪につながる恐れがあるからだ。
霊友会(岡本ジュリオ代表)が飯星候補支持を大声で表明できない訳はそこにある。これは他の宗教団体も同じようだ。
生長の家関係者は、「今回は理事会で『統一候補は出さない』と取り決めがあった」と明かす。
「下本八郎さんや、野村丈吾さんらを応援してきた過去はある」。そう認めながらも、「だいぶ前から表向きは選挙に関与しない」方向性で一致しているという。
宗教団体という強力な″後ろ盾″を失ったことで、かつてに比べ、票が伸び悩んだ日系候補もいる。
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沖縄系移民が多く住むサンパウロ市ビラ・カロン区。同区沖縄協会の代表、上原武夫さんも今回、飯星候補に賭けた。州議選には同じ沖縄系の花城ジェトゥリオ候補が出馬していたが、応援は見送った。特に要請もなかった。
そのため、「飯星さんとは父親の代からの知り合い。同業(美容品業界)のよしみで」と、飯星氏支持の腹を決めた。
同区一帯に集まる化粧品店の票も取りまとめた。候補と友人関係にある息子が中心となって奔走した。
時代を逆上れば、沖縄系人の政界進出は華々しかった。その結束ぶりを示す象徴でもあった。
八六、九〇、九四年の下議選には伊波興祐、具志堅ルイス氏の沖縄系コンビがそろって当選し続けた。九四年はこれに神谷牛太郎が加わった。当選した日系下議三人がいずれも沖縄系二世という状況もごく最近のことだ。もっとも、日系当選者ゼロの現実を前に、遠い昔の出来事のようにも思えてしまう。
上原さんに尋ねた。もし、先の選挙で沖縄系候補と飯星氏の両方から支援要請があったら、どちらを選んでいましたか――。少し考えて、上原さんは、「飯星さんだったかもしれません。息子の世代はもう沖縄系だからというよりも、もっと広い立場で考えますから」
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飯星氏は、「前回ならば、当選していた」と悔やむ。前回九八年の選挙では同じ党(PSDB)から出馬し、三万五千票で州議になった候補がいた。
「もともと四万から五万の間に目標を置いていた」 しかし、現実は新人候補。知名度の低さなど懸念材料も多かった。だから、四万四千票は上出来と言えた。
日系票が七割を占めたことは狙い通りだった。実際は若い世代が支えてくれたが、一世からの熱いエールもうれしかった。世代、性別を問わず広がった支持に未来も見えた。日系社会の代表、という自覚も一層強まった。
だが、もう一つ、二つパンチが足りなかったことは否定しない。
飯星氏は次への課題として、「地方の市長や市議、企業家らと今後コミュニケーションを図る」、「日系以外の青年層にも食い込むこと」などを挙げ、さらに、「母国日本とブラジル日系社会のつながりの薄弱化も気に掛かっている」と続けた。今後の展開には、やはり日本との関係強化は欠かせない、と。
イタリア、ドイツ、イスラエル、アラブ・・・。「母国との政治経済、文化的な交流が盛んことが、ここの各移民社会の強みにもなっている」と、飯星氏は痛感する。
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複合落選――。これまで記したように、「日系候補当選者ゼロ」という「事件」はさまざまな理由が複雑に絡み合って起こったことは明らかだ。
理由の多くは、日系社会の地盤沈下に起因する。一方で、日伯間のヒト・モノ交流が冷え込んだことで、生じたマイナス状況も見えてきた。
再興に向けては、日系人資質のアピールと、政治現場での実績の積み重ねが布石になってくるはず。
その意味でも、次期政権を担うPT″三銃士″の一人に数えられる日系二世、具志堅ルイス氏が果たす役割は大きく、日系社会としても目が離せない。
さらに、日伯外交関係の転換が不可欠になる。
「二十一世紀の外交は、軍事力や経済力で相手を座冠するより、理念や文化の魅力で相手を引きつける『ソフトパワー』が重要だ・・・経済利益を超えた中期的な外交戦略の視点から・・・日系人が根づいたブラジルなどの南米諸国との交流について、政治レベルでもっと議論がなされていい」
先に取材来伯した日本人ジャーナリストは日本の大手新聞紙上にそう報告した。大筋はここにある。
では、具体的に何から始めるか。近道がないのは明白だ。日系社会がいま力を注ぐべきは――。「時間がかかってもまず日伯学園建設から。日本は文化予算をもっとブラジルに注ぐべき」。サンパウロ人文科学研究所、宮尾進所長の意見だ。
(小林大祐記者)
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