■コロニア ニッケイ社会 ニュース

■コロニアニュース

■ブラジル国内ニュース

■コラム

■企画

■会社案内

■リンク集

■トップページ


■日系ゼロ 聖州下議・州議選を振り返る(1)=大使らの願い届かず=日系人を評価するPT

11月2日(土)

 当選者ゼロ。サンパウロ州から先の下議・州議選挙に臨んだ日系候補は、日系ブラジル史上に残る「全滅」という憂き目を見た。乱立による共倒れ、日系票が日系候補に流れなくなった、出稼ぎの不在―とその原因があれこれ取りただされる中で、「ゼロ」に至った背景を識者らの意見を交えて、さらに分析、今後の見通しなどを含めて連載する。

 日朝国交正常化交渉で前線に立った、鈴木勝也・交渉担当大使(前ブラジル大使)に〃日系候補全滅〃の報は届いているだろうか。
 今年一月二十八日。大使は離任に際してサンパウロの文協で開かれた送別会に出席、こうあいさつした。「日系人はぜひ結束して一人でも多くの議員を送り出してもらいたい。それが日系社会の向上にきっとつながるはずだから」。コロニアに贈った最後の言葉となった。
赴任当時、首都ブラジリアの連邦議会に日系の政治家はただ一人、小林パウロ氏だけだった。第一回移民から約百年。軍警や大学には多くても、「中央政治の世界で同じ日系の顔はほとんど見ないな」。そんな感慨におのずと駆られたか、他国の大使らから指摘されたか。別れの席で、大使は思い出したかのように、先の言葉を付け加えた。
 日系百四十万のマン・パワーを象徴する、有力な日系議員を―。それは首都で日系の存在感を高めてくれるだけでなく、ブラジルと日本の政治経済関係にとっても、不可欠なもの。あるいは大使はそう思い定めて、エールを送ったのかもしれない。
 しかし、願いは届かなかった。
 ブラジル日系人口の七十二%を占めるといわれるサンパウロ州から、今年の州議・下議選挙に出馬した四十三人の日系候補はすべて落選。日系社会は「一人でも多く」どころか、たった一人の議員も送り出すことが出来なかった。
 四年前の同選挙で、日系政治家はサンパウロ州で下議に一人、州議に三人が当選している。八年前には下議三人、州議三人を数えた。それが今やゼロに―。
      ◇
 先の選挙では日系移民史に残るトピックがもう一つ生まれた。次期政権を担うことが決まったPT(労働党)の中枢に日系の顔が見られることだ。
 「野村さん、コロニアはどうなるよ。ルーラが勝ってしまったね」
 大統領選挙の結果を嘆く日系の知人に、野村丈吾元下議は即座に返した。「(コロニアは)これから良くなる」
 続けて、「PTはわたしの党ではないけれど、PTほど日系人の力を認めた党はない」と評価した。ルーラ次期大統領の右腕で、党の総裁・国会のリーダーを歴任している具志堅ルイス氏や、同党サンパウロ州総裁の岡本パウロ氏の存在が念頭にあった。
 「ルーラ氏は日系人の仕事ぶりを認めているだけでなく、大変な親日家。(サンパウロ州知事に立候補した)ジェノイーノ氏の夫人は日系二世だ。自身もサンパウロに出て来たときには日本人の洗濯屋に働いていた」
 一般に保守意識が強いとされる日系社会にとって、元革命闘士のルーラ次期大統領を筆頭にするPTは好ましくないものとして映りがちだ。実際、日系の候補者リストを見れば与党からの出馬が目立つ。これまでの歴史をみてもそうだった。
だが、先の選挙では左翼系政党のPTや革新系PRONAが大きく躍進。現政権を支える政党は後退を強いられ、与党出馬の日系候補もその余波を少なからず受けた。これがそろって敗退へとつながる原因にもなった。
一方で、皮肉な現象も起きた。コロニア的には望ましい保守系の日系候補が惨敗を喫した結果、同じ日系人が表舞台に立ち、左翼系政権の重要ポストに就任する見込みが強まっているのだ。
 日系社会は今、大きな失望と膨らむ期待のはざまで微妙に揺れている。
     ◇
 選挙明け一週間後の十月十四日午後、サンパウロ総領事館。コロニアの動向に深い関心を寄せる赤阪清隆同総領事は、〃日系候補全滅〃の事態を受けて、文協、県連、援協の代表者を急きょ招き、意見や今後の対策などを求めた。
 六年後には移民百周年を控える。これに伴う記念行事の開催や、将来の日伯外交において、日系議員の存在は不可欠―。コロニアの行事に参加する度に、「六年後」を強調、「日系社会の総意をまとめて欲しい。協力は惜しまない」と明言してきた総領事の心中にはそんな思いが見え隠れする。さらに、出稼ぎや、移民の高齢化など日系社会とブラジル社会をまたがる問題も山積みだ。
 「今度はうちから出しますよ」
 「それは心強い」 
 この日の和井武一援協会長の発言は、総領事に頼もしく響いた。
(小林大祐記者)

■日系ゼロ 聖州下議・州議選を振り返る(1)=大使らの願い届かず=日系人を評価するPT

■日系ゼロ 聖州下議・州議選を振り返る(2)=可能な援助の応援=戦後政治家には使命感

■日系ゼロ 聖州下議・州議選を振り返る(3)=ロマンよりカバン=日伯交流の積極推進も

■日系ゼロ 聖州下議・州議選を振り返る(4)=威光失った日の丸―大きい日本経済の影響

■日系ゼロ 聖州下議・州議選を振り返る(5)=半ば外国人の印象―政治より実務、官僚向き

■日系ゼロ 聖州下議・州議選を振り返る(6)=光放った自信自負=「政治の季節」燃え尽きる

■日系ゼロ 聖州下議・州議選を振り返る(7)=政党政治の時代へ=日伯問題関心薄れがち

■日系ゼロ 聖州下議・州議選を振り返る(8)=飯星氏得票の7割日系=新リーダー待望する若者

■日系ゼロ 聖州下議・州議選を振り返る(終)=母国との交流強化を=文化面の協力にも期待

Copyright 2002 Nikkey Shimbun (Jornal do Nikkey)