■期待される『ガイジン2』(7)―女性移民2人も挑戦―自身の人生経験重ねる役
3月26日(火)
「ガイジン2」の出演者が密かにおびえていたりする。意気込む監督の叱咤を想像して、ではない。素人ながら抜擢された二人の女性が漂わせる存在感に、だ。
小野あやさん(七三)と吉村展子さん(六九)。実際にブラジルで長年生きてきた日本人移民として、移民の役に挑戦する。芝居の経験はまったくないが、その役柄には自身の半生と重なる点も多い。
「いるだけで雰囲気がありますよね。人生がそこににじみでていますから。一緒に出るシーンではきっと緊張してしまうと思います」と出演者の一人。
小野さんには準主役級の役が与えられた。前作の主役チトエの老後を演じる。塚本恭子が四、五十代を、小野さんがその後のチトエを任された。「夢にも思わなかった」。
山形県出身。三三年に渡伯した。ロンドリナ市には四七年から。二十歳から七十歳までの五十年間、フェイランテとして働いてきた。「だから何もほかのことを知らない女です。娘が応募したことからこんな未熟なわたしが出ることになって、恥ずかしい」と打ち明ける。
年輪が刻まれた深いしわ、褐色の肌。その笑顔が形容しがたいほどの魅力を放っている。小野さんと面会した塚本は「本当はわたしがずっと九十代くらいまで演じたかったけれど、あやさんを見たら仕方がないと思った」。
初期移民の家屋のセットを訪ねた小野さんは旧式のミシンなど家財道具を見つけては、「うちにもあった」と喜ぶ。仏壇の前に立つと、そこに仏がいないのを分かっていても、生活の習慣からか、手を合わせ始める。こうしたそこはかとない振る舞いが、役者には脅威だったりする。
カラオケのステージにさえ立ったことのない小野さんだが、監督の粋な計らいから共演することになった孫のチエミさん(二一、学生)はカラオケ大会ではちょっと名の通ったアマチュア歌手。自慢の孫だ。「夫は六年前に亡くなりましたけれど、子供七人、孫十四人は元気です」。
もう一人、別の設定でおばあちゃん役として出演することになる吉村さんは人前に立つことに慣れている様子。ブラジルでNHKのど自慢大会が開かれたときに出場したことも。「滝廉太郎の『はな』を歌って、カネを三つもらいました」。
自宅で歌を指導している。主にニュー演歌が専門。「歌を歌うということはその言葉にのめり込むこと。だから台本を読んで人物の気持ちをつかむことも出来るような気がします」とほのかに自信を見せる。
昨年五月、亡くなった吉村さんの伴侶は手相を見るのが得意だった。生前、「君は少し有名になるかも知れないね」としきりに言っていたことを思い出す。「わたしは歌が上達してなにかあるのかな、と考えていたのですが、この映画に出演することだったのかもしれませんね」。初めは忙しいから断ろうと思った出演だったが、夫の形見となった言葉が背中を押してくれた。福岡県出身、四一年渡伯。現在はサンパウロ市に在住。(小林大祐記者)
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