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■再浮上する日伯学園構想−第二部 日系ブラジル学校の現状−(10)−日伯学園を全伯に−日系人からカルロス・ゴーンを

2月19日(火)

 全伯には数多くの日系ブラジル校が散らばっており、様々な取り組みが試みられている。第二部で紹介したのは、そのほんの一部に過ぎない。
 いろんな日伯学園が各地にできれば、それらをサポートする存在も必要になろう。それこそサンパウロ版日伯学園の一機能かもしれない。
 「サンパウロの人と話していて、サンパウロに殿堂=i日伯学園)ができれば、それが全てと思っているフシがあるけど、私はそう思わない。アラサトゥーバ、モジ、ロンドリーナなど、各地に日伯学園がないとダメではないか」。
 JICAサンパウロ事務所所長の小松雹玄(ひょうげん)さんは「JICAとしてではなく、あくまで個人的考え」と断りながらも、積極的に日伯学園ネットワーク論を展開する一人だ。
 各地の日伯学園を卒業した後、「その先をやりたい人はサンパウロの殿堂≠ノ入る。サンパウロは大学レベルを作るべきなんでしょうね、将来的には。そうすれば地方とサンパウロとのつながりが出来てくる。そして全体として動く」。
 サンパウロの日伯学園に関しては「日本の大学へ入学することは、大きな出口の一つ。そのためには、日本の大学の講義が受けられるレベルの日本語を目指すコースがあってもいいのでは」と提案する。
 地方の日伯学園は「日本語モデル校がせっかくあるんだから、それを核にすれば建物はすでにある」と活用をすすめる。実際、前回紹介したベレンのノーボ・ムンド日伯学園の前身は、JICAモデル助成校だった。
 ただし「それぞれの地方の日伯学園はコロニア団体が支えないと。日本政府からのお金だって未来永劫くるわけではない」と釘をさす。
 地方の日伯学園がバイリンガル校であれば、「帰国してきたデカセギ子弟が、ブラジル社会へ適応するための受け皿になる副次効果もある」という意味付けをする。
 実際、各地の日本語学校や日系ブラジル校にも帰国子弟が続々と入学し、対応に苦慮する学校もあることは、周知の通りだ。
 これらの考え方の基本になっているのは、さまざまな試みにも関わらず、日本語学習者の減少という事実認識がある。
 小松さんの考えでは、日本語が生き残る道は二つ。@バイリンガル校など、公教育に日本語を混ぜる。A完全に語学学校に特化したものにし、他言語も含めて語学のデパート♂サを図る。
 「植民地の場合は日本語学校も残っていくが、都市部ではこの二つではないか」という危機感を持っているという。
 日伯学園論議の根本は、日産自動車を立て直し、日本で経営者として人気の高いブラジル人カルロス・ゴーンのように国際的に活躍できる人材を育成することだと、小松さんは考えている。
 「何のための日本語か≠ヘ、おじいちゃんと話をするためじゃない。何より今はグローバリゼーションの時代。日系人の特徴を生かして、将来の可能性を広げること。ポルトガル語、英語、日本語がしっかりしたものであれば、どこへいこうと怖いものはない。どこの国でも、そういう人材なら受け入れるだろう」。
 ブラジルを発展途上国と嘆く日系人も多い中、小松さんはむしろ「日系子弟は良い環境にいる」と考えている。
 単一文化の日本社会よりも、多文化、多民族社会の方がグローバリゼーションとは相性が良いのだろう。考えようによっては、日本ではできない教育がブラジルでは可能だ。
 この連載で何度も出てきた幼児期からのバイリンガル教育は、学校などの組織としては、日本ではほとんど行われていない。研究やシンポジウムは活発に行われている。だが、文部省の規制や指導もあって、帰国子女対策として、せっかく覚えた外国語を維持するためのバイリンガル教育が、一部の都市で試みられているだけの状況だ。
 各地に日伯学園ができることは、それぞれの日系団体の再編と活性化にもつながる。それがネットワーク化されれば、全伯的な人材の交流が生まれる。日本にとっても、バイリンガル教育の貴重な経験を蓄積できる。さらに卒業生が国際舞台に旅立てば・・・。日伯学園構想は、いろいろな含みを持っている。
(第二部完 深沢正雪記者)


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