■海外選挙区の創設を(終)―自主独立の精神主張―日系新聞協会会長が出馬
12月12日(水)
海外日系新聞協会の高倉道男会長(六一)は十一月二十二日、大分市に『海外日本人代表を日本の国会に送る会・高倉道男事務所』を開設した。選挙事務所を置き、次の衆議院選挙に打って出る。『草の根・海外日系ネットワーク』の協力を基盤に選挙で戦う。
高倉さんはパラグアイで邦字紙『日系ジャーナル』を発行しており、海外に住む日本人に特有の問題について、日ごろ考えるところがある。毎年日本で開かれる海外日系人大会、海外日系新聞大会などにも必ず出席している。これらの大会では毎年、選挙権、年金、在外被爆者問題など海外に住む日本人、日系人、日系社会に関係する特殊な問題が議題に上り討議され、日本政府への要望事項として採択される。高倉さんは、「これら在外邦人の要望が、日本の国会で真剣に取り上げられ議論されたことは一度もない」とため息をつく。
海外日系人社会には、選挙権がないとか、在外被爆者を日本にいる被爆者と差別して適切な医療を施していないなどの独特の問題がある。このように基本的人権が侵されているというような問題は、人権回復のために法廷に訴えるという手段が考えられる。日本の在外選挙権は、米国ロサンゼルスの日本人が中心になって一九九四年に『海外在住者投票制度の実現を目指す会』(九八年八月解散)を発足させ、ブラジルを含む『海外有権者ネットワーク』の協力の下に違憲訴訟案を国会に提出し、勝ち取られたものだ。
公職選挙法改正案は八四年にも国会で審議された。このときはブラジルの日系社会では本紙の前身であるパウリスタ新聞と日伯毎日新聞がキャンペーンを張った。パウリスタは法の下の平等など原則論を主張し、日伯毎日はアンケートの調査結果で理論武装した。それでも改正案は国会で大きな議論にはならず不発に終わった。十四年後の九八年に通過した理由は、選挙権を行使できないことに対する違憲訴訟案を国会に提出し、法廷で争う構えを見せたため国会は動かざるを得なくなったと考えられる。法案が通過したとき、ロサンゼルスの『海外在住者投票制度の実現を目指す会』の会員たちは、国政選挙のうち比例区の選挙権だけが認められたことに対し「在外選挙権は四〇%しか回復されていない」と残念がった。衆参両方の議員総数の六〇%を占める小選挙区への選挙は認められなかったからだ。
このように海外に住む日本人の基本的人権が侵されているような問題を解決しようとする場合、その人権を回復するためには、訴訟と並行して在外日本人の代表を国会に送って理解を求めることが有効だ。
リンカーンのひそみに倣うなら、「在外日本人の在外日本人による在外日本人のための政治」が求められている。それを実現するためには、海外選挙区を創設し海外に生きる日本人共通の問題を理解できる代表を日本国会に送る必要があるのではないか。
(大浦玄記者)
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